先月の初回訪問——「こち亀は全巻揃ってないけど、買えますか?」
今回の記事は、先月の一言から始まる話です。
先月、呉市内のお宅へ初めて出張買取にお伺いしました。ご蔵書整理で、コミックを中心にまとまった量をお預かりさせていただいたのが、そのときのご縁のはじまりでした。査定と搬出をひととおり済ませ、車に積み込んで「本日はありがとうございました、また何かございましたらいつでもお声がけください」とお伝えしたその帰り際——玄関の三和土(たたき)でお客様から、こんな一言をいただいたのです。
「あの、実はこち亀もあるんですけど……全巻揃ってないんですよ。途中の巻から後ろだけなんですけど、それでも買えますか?」
店主、少し考えて、こうお答えしました。
「こち亀ならそのくらいあれば大丈夫ですよ。全200巻という長い作品ですから、後半だけの揃いでも十分需要があります。もしご整理のタイミングがあれば、また声をかけてください」
それが、先月の別れ際のやりとりでした。
正直に申し上げますと、店主自身、この会話がどれくらいの重みでお客様の中に残るかは、そのときはあまり考えていませんでした。古本屋の一言——それは、日々の商売の中で当たり前のように交わされる短いやりとりの一つです。「買える/買えない」の判断を、その場でできる範囲でお伝えする——それが古本屋の役目だと思っているからです。
ところが、この一言が、1ヶ月後、思わぬかたちで戻ってきました。
先週、電話が鳴る——「先日話していたコミック、出てきました」
先週のある日、呉市の店舗で本の整理をしていると、電話が鳴りました。フリーダイヤル(0120-273-707)——受話器を取ると、聞き覚えのあるお声。先月お伺いしたお客様でした。
「あの、先日話していたこち亀なんですけど、出てきました。あと、他にも釣りキチ三平と北斗の拳も出てきたんですが、まとめて見ていただけますか」
店主、内心で「あの一言、覚えていてくださったんだ」と、じんわりと胸に来るものを感じつつ、平静を装ってお話を伺います。「ぜひ、拝見させてください。いま少し、タイトルと状態を教えていただけますか」——電話口で、お客様から出てきたコミックの情報を一つずつ確認していきます。
- 矢口高雄『釣りキチ三平 平成版』——講談社KCデラックス、全12巻揃、状態は良好
- 武論尊・原哲夫『北斗の拳』——集英社ジャンプコミックス版、全27巻揃、状態は並程度
- 秋本治『こちら葛飾区亀有公園前派出所』——集英社ジャンプコミックス版、後半巻揃、約120巻分(先月お話しした「途中の巻から200巻まで」のかたち)
3タイトル合わせて、およそ160冊。呉市内で、玄関先まで運び出しやすい状態で保管してあるとのこと。ここまでお話を伺えれば、電話口で概算金額をお伝えできます。当店の電話事前見積りには一つのルールがあります——「後で概算より高くなることはあっても、低くなることはしない」。この日も、その方針でお伝えした金額に、お客様は「それでお願いします」と即決してくださいました。
訪問日時のご希望は翌週月曜(7月13日)の午前中——ご都合の良い時間帯をお聞きして、その場で日程確定。呉市内は当店本店から近いので、平日の午前中の枠に柔軟にお入れできる立地の強みが、こういう場面で活きてきます。
7月13日(月)午前中——呉市内、朝のうちに現地へ
身支度を整え、車にオリコン(折りたたみコンテナ)と台車を積み込んで、呉市の店舗を出発します。呉市内の移動は、店舗から近いお宅であれば車で10分〜20分——高速道路も、峠越えも不要。窓を開けて走れば、瀬戸内の海風と、山側からの湿った緑の匂いが混じって車内に入ってきます。
この日の朝は、比較的しのぎやすい気温でした。梅雨明け直後の呉市は、朝と午前中はまだ穏やかな時間帯があります——正午を境に一気に気温が上がるので、午前中の出張買取は真夏のゴールデンタイムと言ってもいいくらい。今回のご依頼は、まさにその時間帯にお伺いできる幸運な段取りでした。
現地に到着して玄関のチャイムを鳴らすと、先月と同じお客様が出迎えてくださいました。「先日はありがとうございました、また今日もよろしくお願いします」——先月のお別れ以来、1ヶ月ぶりの再会です。玄関を上がらせていただくと、そこには——
玄関の上がり框から廊下にかけて、3つのタイトルがそれぞれきちんと平積みされていました。釣りキチ三平の12冊、北斗の拳の27冊、こち亀の120冊分。合わせて約160冊。表紙を下にして、傷まないように丁寧に積んでくださっている——実は先月お伺いしたときも、お客様は同じように平積みで玄関先に本を出しておいてくださっていました。今回もそのスタイル。これはこのお客様のお心遣いの流儀なのだな、と、玄関先の光景を見て店主は改めて感じ入りました。
このお客様の平積みのいつものスタイルに、この日も当店の作業時間は大幅に短縮されました。
矢口高雄『釣りキチ三平 平成版』全12巻揃——晩年の三平、カムチャッカへ、そして琵琶湖へ
まず手に取ったのは矢口高雄『釣りキチ三平 平成版』全12巻揃(講談社KCデラックス)。表紙の背表紙に並ぶマガジン掲載通し番号——1533号/1544号/1618号/1749号/1960号/1975号/2022号/2095号/2367号/2635号/2904号/2921号——を確認しながら、一巻ずつ状態をチェックしていきます。
矢口高雄先生(1939-2020)は、日本を代表する釣り漫画家であり、自然を描かせたら並ぶ者のない画力を持った作家でした。代表作『釣りキチ三平』は1973〜1983年、週刊少年マガジンで連載——秋田県の山村を舞台に、天才少年釣り師・三平三平(みひら・さんぺい)が日本各地・世界各地の魚と対峙する冒険譚。日本の少年漫画史において、スポーツ漫画とも冒険漫画とも違う「釣り漫画」というジャンルを確立した金字塔でした。
それから約20年後の2004年、矢口先生は『釣りキチ三平 平成版』として、大人になった三平が新たな釣りの旅に出るシリーズを開始されます。連載は少年マガジン→月刊少年マガジンへと媒体を変えながら、2010年まで続きました。先生ご自身が晩年に描かれた、三平の総決算と言っていい作品群です。
全12巻のサブタイトルを追いかけると、平成版の物語構成が見えてきます。
- 1巻「龍飛湖のモンシリマス」・2巻「妖狐森の巨大魚」・3巻「泊の夏2003」・4巻「赤沢堤の主」——国内の未知の水域を旅する導入編
- 5巻〜9巻「三平inカムチャッカ」シリーズ(クロヒール川編/ビストラヤ川編/アジピスとラヤ川編/カビの秘密編/ユージャ編)——ロシア極東・カムチャッカ半島の秘境を舞台にした大長編
- 10巻「リコルド編」・11巻「ウシリの滝編」——カムチャッカ以降の展開
- 12巻「琵琶湖の石/糠平のうすかじ」——物語は日本に戻り、琵琶湖という馴染み深い水域で完結
店主、この12巻を並べて見ていて、思うところがあります。三平は、晩年、日本の原風景から出発してカムチャッカという極北の秘境まで足を伸ばし、最後に琵琶湖に還ってきた——それは、矢口先生ご自身の作家人生の軌跡そのもののようにも見えるのです。秋田の山村で少年時代を過ごし、日本の自然を描き続け、世界に目を向け、そして最後に日本の淡水魚文化の象徴のような琵琶湖へ。
2020年に矢口先生がお亡くなりになった今、この平成版全12巻揃は、先生の晩年の情熱を一続きで追体験できる唯一の並びとなっています。単巻でも読める作品ではありますが、1巻から12巻まで通して読んでこそ、平成の三平の意味が立ち上がる——そんな作品の揃いを、お預かりできたのは古本屋冥利に尽きます。
武論尊・原哲夫『北斗の拳』集英社ジャンプコミックス版 全27巻揃——1983-1988、少年ジャンプ黄金期の金字塔
続いて武論尊・原哲夫『北斗の拳』——集英社ジャンプコミックス版の全27巻揃。1983〜1988年、週刊少年ジャンプで連載された、世紀末バイオレンス漫画の金字塔です。
核戦争後の荒廃した世界を舞台に、伝説の暗殺拳「北斗神拳」の伝承者ケンシロウが、拳王ラオウ・南斗六聖拳のシン・トキ・レイ・シュウ・ユリア……次々と現れる強敵たちと激突していく物語。「お前はもう死んでいる」「ひでぶ」「たわば」「あべし」——1980年代の少年少女が誰もが口真似した名台詞群。単なる格闘漫画の枠を超えて、時代の空気そのものを刻印した作品でした。
『北斗の拳』には、後年、多数の版違いが刊行されています——集英社文庫版(全15巻)、コンビニ版、完全版(全14巻)、愛蔵版、Kindle版、そして今回お預かりした集英社ジャンプコミックス版(連載当時の新書判、全27巻)。
版によって表紙・判型・巻数構成・附録の有無・カラーページの再現度など、それぞれ味わいと価値が異なります。中でも、連載当時のジャンプコミックス版全27巻は、リアルタイム世代にとっての「原体験の版」——書店で新刊が並ぶのを毎回楽しみに待った、あの当時の判型のまま。今回のように全27巻きれいに揃った状態でお預かりできるのは、この版特有の需要を考えると、ありがたいご縁でした。
『北斗の拳』が今も語り継がれる理由は、いくつもあります——ケンシロウとラオウの兄弟の物語という古典的悲劇構造、ユリアという「愛の対象としての女性像」、南斗六聖拳という敵役たちの魅力、そして「一子相伝の暗殺拳」という設定が持つ神話性。連載終了から40年近く経っても、パチンコ・スロット・ゲーム・アニメ映画・スピンオフ漫画……コンテンツとして生き続ける稀有な作品です。
秋本治『こちら葛飾区亀有公園前派出所』後半巻揃、約120巻分——日本漫画史上最長・全200巻の後半
そして、この記事の芯である秋本治『こちら葛飾区亀有公園前派出所』——通称「こち亀」。今回お預かりしたのは集英社ジャンプコミックス版の後半巻揃、約120巻分(先月お話ししていた「途中の巻から200巻まで」のかたち)。
『こちら葛飾区亀有公園前派出所』は、1976年〜2016年、週刊少年ジャンプで通算40年間の連載——単行本コミックス全200巻という、日本漫画史上、単一シリーズとしての最長連載記録を打ち立てた作品です。作者・秋本治先生(1952〜)は、40年間ただの一度も休載せず、毎週締切を守り続けたことでも知られる、職人の中の職人と呼ぶべき漫画家です。
主人公・両津勘吉(両さん)を中心に、葛飾区亀有の派出所を舞台にした人情ギャグ——と一言では括れないほど、40年間の作品の中には多彩な世界が広がっています。両さんの子供時代の下町ノスタルジー、バブル期のお金儲け騒動、平成の各種ブーム風刺、令和目前の現代社会観察……『こち亀』は、それ自体が昭和後期〜平成30年間の日本社会の生きた記録と言ってもいい作品です。
なぜ「後半巻揃」でも買取が成立するのか
ここで、先月お客様の質問——「全巻揃ってないけど買えますか?」——に対する古本屋の視点を、もう少し詳しくお話しさせてください。
コミックの買取において、「全巻揃」は最も価値の出やすい形です。物語の最初から最後までを一続きで読める状態、これはコレクター需要にも読者需要にも応えられる完成形だからです。逆に「巻の抜けが多い部分揃」は、次の読者にとって「読みたいところが読めない」状態を生むため、買取難度が上がります。
ところが、『こち亀』のように全200巻という超長寿シリーズの場合、事情が少し変わってきます。
- 全200巻を新品で揃えるのは経済的・物理的にハードルが高い——1巻からじっくり揃えたいと思っても、既に全巻絶版に近い状態のものもあり、また置き場所も相当必要
- そのため「前半巻は持っているが後半巻は追いきれなかった」「後半巻から入ったのでこれから前半を揃えたい」という読者層が一定数存在する
- 結果として、後半巻揃・前半巻揃・部分揃それぞれに、「揃いを補完したい層」の需要が生まれる
- 特に、100巻以降の後半期は、秋本先生の描画が完全に円熟し、ネタもより深化・多様化した時期——ファンから見て「後半こそ本領」という評価もあり、後半巻揃独自の価値がある
これらの理由から、『こち亀』については後半約120巻分の揃いという今回のような形でも、買取が十分に成立します。先月「そのくらいあれば大丈夫ですよ」とお答えしたのは、作品ごとの需要構造を踏まえた古本屋の判断だったのです。
秋本治先生の職人性と『こち亀』の遺産
秋本先生の凄まじさは、なんといっても40年間・全1960話・休載ゼロという記録に集約されます。週刊誌連載は、漫画家にとって最も過酷な仕事形態と言われます——毎週20ページ前後の原稿を、締切に間に合わせて完成させ続けなければならない。多くの人気作家が体調を崩し、休載を挟み、時には連載中断や打ち切りを経験する中で、秋本先生だけは40年間、一度も休まなかったのです。
この事実は、単なるトリビアを超えて、職人としての生き方そのものの記念碑です。『こち亀』の各巻には、秋本先生の40年間の生活・時代観察・技法の進化が、そのまま刻印されています。今回お預かりする後半巻約120巻分——これは、秋本先生の後半人生の仕事の記録そのもの。
次にこの本を手に取る読者の方が、両さんの毎週のドタバタを通して、平成日本の空気をそのままリアルタイムで追体験できる——そんな一続きの読書経験を、この後半巻揃はまだ提供できるのです。
玄関先の平積みから、台車で駐車場まで20メートル、オリコン2個、1往復
3タイトル・約160冊の状態確認と査定が済んだところで、搬出作業に移ります。
お客様が事前に平積みで用意してくださっていたおかげで、当店の作業はシンプルでした。持参したオリコン(折りたたみコンテナ)2個を玄関に広げ、釣りキチ三平・北斗の拳・こち亀のそれぞれを、タイトルごとにまとめて、傷まないよう向きを揃えて詰めていきます。全200巻のシリーズものは、後で店に戻ってから在庫棚に並べる際に「同じタイトルは連続して並んでいる状態」で持ち帰るのが後工程が楽——これは古本屋の細かい段取りのコツです。
詰め終わったオリコン2個を、台車に載せて、玄関を出て駐車場までの約20メートルを運びます。呉市内のお宅で、駐車場が玄関から近い立地——これも今回の作業を短時間で終わらせられた大きな要因でした。台車1往復で、160冊のコミックが車の中に収まりました。
玄関の三和土で「本日はありがとうございました、また何かあればお声がけください」とご挨拶。先月と全く同じ、しかし前回よりも心の距離が少し縮まった別れ際でした。
電話事前見積りが成立するお客様——「先月」があるからできること
今回の買取全体を振り返ってみると、当店にとって非常にスムーズなご依頼でした。理由を整理すると——
- 電話でタイトル・巻数・状態を正確にお伝えいただけた——お客様側にコミックの情報を把握する目があった
- 電話段階で概算金額をご提示し、その場でご了承いただけた——現地査定での金額交渉のやりとりを省略できた
- 玄関先に平積みで事前準備してくださっていた——現地作業がオリコン詰め+搬出のみに集約された
- 駐車場が玄関から近く、台車1往復で完了——立地条件も味方してくれた
この4つが揃うと、査定・搬出の全工程を短時間・効率的に完了できます。しかし、これは初回のお客様には難しいことです——なぜなら、初回はお互いに相手のことをまだ知らないからです。
初回の訪問では、店主はお客様がどんな方か、どんな本を持っておられるか、状態はどの程度かを、実際に会って自分の目で確かめる必要があります。同様に、お客様側も「アッシュ書店ってどんな古本屋なんだろう」「店主ってどんな人だろう」を、実際に会って感じ取っておられる。この初回訪問の「相互理解の時間」があるからこそ、2回目以降は電話一本で話が通じるようになります。
今回のお客様は、先月の初回訪問で、当店の見積り姿勢・査定基準・お仕事の丁寧さを実際に体験してくださっていました。だからこそ、電話で概算金額をお伝えした際に「それでお願いします」と即決してくださった——これは、先月の1回の訪問で積み上げた小さな信頼の結果だと、店主は感じています。
そして何より、先月お別れ際にいただいた「こち亀は全巻揃ってないけど買えますか?」の一言——あのとき「そのくらいあれば大丈夫ですよ」とお答えしていたことが、1ヶ月後に今回のご依頼という形で戻ってきました。
古本屋という商売は、その場の査定金額もとても大切ですが、それ以上に「次に本が出てきたときに、また思い出してもらえる関係性」を残せるかどうかが、20年続けてきた実感として、本当に大きな意味を持ちます。
そして本日、7月16日——広島市内の帰り道で見た、外気温計40℃
ここまで7月13日(月)の呉市内での買取実例を書いてきましたが、話をもう一つ、本日7月16日(木)のことを添えて結ばせてください。
本日午後、広島市内のお宅へ出張買取にお伺いしました。ご退去日が今月末に確定されたということで、以前ご紹介いただいていたお客様のお宅への訪問——蔵書は自己啓発本を中心にまとまった量がありましたが、開いてみるとすべての本のカバーが取り外されていたのです。カバーを外して本文だけを読まれる読み方をする方——読書スタイルとしては珍しいことではないのですが、古本の再流通という観点では、カバー欠品は買取が難しくなります。とくに自己啓発本のジャンルでは、表紙デザイン・帯・著者写真・キャッチコピーが商品価値の一部を担っているため、カバーがないと次の読者への訴求力が大きく落ちるのです。
正直モードで「大変申し訳ないのですが、今回は買取が難しい状況です」とお伝えし、引き取り対応とさせていただきました。お客様も一緒に運び出しを手伝ってくださり、30分ちょっとで積み込み完了。ここまでは、いつもの正直モードの一日、と店主は思っていました。
ところが、積み込みを終えて車のエンジンをかけた瞬間——ダッシュボードの液晶に表示された外気温計の数字を見て、思わず二度見しました。
「40℃」。
昨日15日(水)は広島市東区で1200冊の宗教書搬出を終えた日で、そのときの外気温計は35℃でした。それから丸1日で、気温は5℃も上昇していたことになります。梅雨明け直後の気温上昇カーブは毎年これくらい急なのですが、それにしても40℃という数字を目の当たりにすると、体の中を静かな緊張が走ります。
店主、ハンドルを握りながら、思わず口に出してしまいました。「これから夏を越せるのか、ちょっと心配だ」——20年、この仕事をやってきて、真夏の40℃はさすがに厳しい。本にとっても厳しいし、店主自身の体にとっても厳しい。
13日の呉市内・釣りキチ三平の日は午前中で気温はまだ穏やか、平積みで用意してくださったお客様のおかげで台車1往復・短時間で完了——あの日は、実は「呼吸の合った買取」だったんだなと、40℃の帰り道で改めて実感しました。
電話一本、平積み、台車1往復、そしてお互いの信頼——そういう小さな段取りの積み重ねが、真夏の40℃の時代に、古本屋の体と心を守ってくれるのかもしれません。先月の一言を覚えていてくださったあのお客様、事前に平積みで準備してくださったあの丁寧さ、電話で即決してくださったあの信頼——2026年の夏、これから本格的に体力勝負の季節が始まりますが、こういうお客様との「呼吸の合ったご縁」を、一つずつ大切にしていきたいと、40℃の車内で心に決めた昼下がりでした。
まとめ——先月の一言、今月の再訪、そして真夏の40℃
2026年7月13日(月)午前中、呉市内で出張買取。先月初めてお伺いしたお客様からの2回目のご依頼——先月お帰り際にいただいた「こち亀は全巻揃ってないけど買えますか?」の一言に対する「そのくらいあれば大丈夫ですよ」というお答えが、1ヶ月後に今回のご依頼として戻ってきた午前中でした。
- 矢口高雄『釣りキチ三平 平成版』全12巻揃(講談社KCデラックス)——先生の晩年の情熱、カムチャッカ・琵琶湖まで駆け抜けた12冊
- 武論尊・原哲夫『北斗の拳』全27巻揃(集英社ジャンプコミックス版)——世紀末バイオレンス漫画の金字塔、連載当時の原体験の版
- 秋本治『こちら葛飾区亀有公園前派出所』後半巻揃約120巻分(集英社ジャンプコミックス版)——日本漫画史上最長・全200巻の後半、秋本先生後半人生の職人仕事の記録
合わせて約160冊。電話事前見積り・玄関先平積み・オリコン2個・台車で駐車場まで20メートル1往復という、お客様のお心遣いに恵まれた、非常にコンパクトな搬出。
そして本日7月16日(木)、広島市内での引き取り作業を終えて車のエンジンをかけると——外気温計は40℃。「これから夏を越せるのか、ちょっと心配だ」と、思わずつぶやきながら、13日の呉市内の「呼吸の合った買取」を思い返しました。2026年の真夏、これから本格的に始まる体力勝負の季節——お客様との丁寧な段取りが、古本屋の身を守るお守りになる、そんな予感のする梅雨明けの一週間でした。
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