2026年6月29日、午後。広島市安佐南区のお客様のお宅へ、遺品整理の出張買取でお伺いしました。今回は二度目の訪問です。最初のご縁は先週、朝から雨が降る中で買取を回っている途中に、お客様からお電話をいただいたことでした。「本日は雨ですのでお持ち帰りは難しいかもしれませんが、もしよろしければお見積もりだけ寄らせていただきましょうか?」——そうお返事したのが、今日に繋がるスタートでした。

その後、土曜日にご家族の方からお電話をいただき、本日改めてお伺いした次第です。広島市中心部から広島高速4号線を北上して安佐南区へ。週明けの月曜、空はすっかり晴れていました。

本日お預かりしたのは、亡くなられたお父様の蔵書——寺沢武一『COBRA』完全版全12巻揃いを含む寺沢作品一式望月三起也『ワイルド7』全14巻・『W7 ~新世紀ワイルド7~』・『秘密探偵JA』全15巻ほか望月作品一式、そして広島の方言・郷土関連の本が少々——合わせて約66冊。80年代青年漫画黄金期の二大巨匠が並ぶ、本好きのお父様の書棚でした。

この記事でわかること
・広島市安佐南区の遺品整理買取現場の実例(2026年6月29日)
・寺沢武一『COBRA』完全版・ジャンプコミックスデラックス・画集の古書評価
・望月三起也『ワイルド7』全14巻・『W7 ~新世紀ワイルド7~』・『秘密探偵JA』全15巻の魅力
・80年代青年漫画黄金期を象徴する蔵書の価値
・「雨の日の買取依頼お電話→見積もり→他社との比較検討→土曜のご依頼電話→本日の回収」二度訪問の流れ
・「買い取れない本も含めて一括で引受け」という遺品整理ならではのポイント
・2階のお部屋から玄関までご家族が降ろしてくださっていた心遣いの話
・買取できないお母様の本の引き取り対応について

広島高速4号線で安佐南区へ——伏線①「沼田トンネル」を抜けた先

当店は広島市内を出張買取で頻繁に巡っておりますが、安佐南区方面へは、その日のスケジュール次第でルートをいくつか使い分けています。本日は呉から向かう形だったので、広島高速4号線を選びました。

4号線は広島市西区を起点に、沼田トンネルを抜けて山陽自動車道へ接続する、いわば「安佐南区への近道」のような有料道路です。長いトンネルを抜けると、視界がぱっと開けて、安佐南区の住宅と緑の山並みが目の前に広がる——呉店を拠点にする当店の店主にとっては、何度通っても少し旅行気分になる景色です。

正直にお話しすると、店主は呉を拠点にしている関係で、安佐南区のお宅にお伺いするのは月に何度か、という頻度です。だからこそ、この高速を北上していく時間が、「これから新しい蔵書と出会いに行く」気持ちの切り替えの時間になります。先週、雨の日に一本のお電話から始まったご縁が、今日こうして本に直接触れる時間に繋がっている——その流れ自体が、出張買取という仕事の不思議さでもあります。

先週の雨の日——雨中の出張中にいただいた一本のお電話

少し時間を戻して、先週のお話。

その日は朝から雨が降っていました。雨の日は本を運ぶのが難しいため、店主はその日、雨でも買取に伺える現場(ガレージ付きや雨備えのある現場など)を選んで広島市内を回っていました。紙の本にとって、雨はいちばんの大敵。たとえ短い距離でも、玄関から車までの間に表紙が湿ってしまうと、本の価値を著しく損なってしまうからです。

そんな出張の途中、車にお電話が鳴りました。安佐南区のお客様から、「父の本を見ていただけないでしょうか」との買取依頼のご連絡でした。カーナビゲーションで住所をさっと確認したところ、たまたまそのエリアのすぐ近くまで来ていることがわかりました

「お電話ありがとうございます。実は今ちょうど近くまで来ておりまして——本日は雨でございまして、本のお持ち帰りは難しいかもしれませんが、お見積もりだけならよれますよ」と、その場でご提案させていただきました。

雨の日に本を買い取らずに見積もりだけさせてもらう——古本屋としては一見遠回りに見える提案ですが、本を濡らさずにお預かりすることは、何よりも本にとって大事。お客様も「それならぜひ」とご了承くださり、その日の雨中の買取を一件終えたあと、安佐南区のお宅へ伺うことになりました。

お父様の蔵書が並ぶお部屋は2階。階段を上がって書棚の前に立った瞬間、「これは雨の中でも伺って本当によかった」と心の中で思ったのを覚えています。寺沢武一と望月三起也が並ぶ書棚、それも揃いで——古本屋として、本能的に背筋が伸びる蔵書でした。

見積りの席で——「いるさ……ここにひとりな」

一冊一冊、丁寧に拝見させていただいて、その場でお見積もり金額をストレートにお伝えしました。店主は「探り見積もり」をしない主義です——他店の金額をうかがってから後出しで上乗せする、という売り方はいたしません。寺沢作品、望月作品ともに揃いで揃っているため、古書としての価値もそれなりにしっかり付いた金額を提示させていただきました。

ところがここで、お客様から「実は、買い取れないものも含めて、すべて引き取ってくださる業者さんにお願いしたいと思っているので、あと数件、他の古本屋さんにも見ていただこうと思います」とうかがうようにお話がありました。

これは古本買取の現場ではよくあることです。ご家族にとっては、「高く買ってくれる業者」よりも「本棚を一括で空にしてくれる業者」のほうが、遺品整理の状況ではありがたい——そのお気持ちは、古本屋20年やってきた店主はよくわかります。

そこで店主は、ござっくばらんとこう申し上げました。

実は、この量を一括で無償引取を含めてお引受けできる古本屋はそう多くないのですが——うちはできますよ

言いながら心の中では、寺沢武一『COBRA』の「他にやるやつはいるか?」「いるさ……ここにひとりなの場面がちらっと頭をよぎりました。左手にサイコガンをもつ男、コブラのいちばんクールな台詞です。寺沢コレクションを集めるコブラ好きのお父様に、こっそりオマージュを捧げたい気持ちもありました。

もちろん、その場でコブラの台詞を口に出したりはしません(笑)。でも「この量を一括で、引取も含めて対応できる古本屋」というポジションを、見積もりの席でしっかりお伝えすることは、遺品整理の買取では何よりも大事。ご家族のご負担を一括で軽くできるということを、明確に伝えさせていただきました。

そうしてその日は、「他数件をあたってご検討いただいて、ご連絡ください」とお伝えして、安佐南区のお宅をあとにしました。雨の中の車の中で、「いるさ……ここにひとりな」とコブラを思い浮かべながら、呉への帰路につきました。

土曜日のお電話、そして本日の二度目の訪問

そして土曜日、ご家族の方から本命のお電話をいただきました。「先日お見積もりをいただいた本、やはりアッシュ書店さんにお願いしたいと思います」とのこと。他数件あたった上で、「一括で引受けてくれる」点を評価していただいたと、コブラの台詞が頭をよぎりました。日程を相談させていただき、本日2026年6月29日(月)の午後に改めてお伺いする運びとなりました。

玄関のドアをノックしてお声がけさせていただき、ドアを開けていただいた瞬間——店主は思わず「ありがとうございます」と頭を下げてしまいました。なぜなら——先週のお見積もり時には2階のお部屋にあった本が、本日伺うと玄関のすぐ近くまで降ろしておいてくださっていたのです。

玄関の上がり框のそばに、本が丁寧に平積みで整然と置いてくださっていました。表紙を下にして重ねておいてくださって、本に傷がつかないようにという配慮がよくわかります。2階から玄関まで、おそらく何往復もして運んでくださったのだろうと思うと、本当に頭が下がります。「重かったでしょう……ご家族でこれだけ降ろしてくださって、本当にありがとうございます」とお伝えすると、「店主さん一人で運ぶのは大変だろうから」と、ごく自然におっしゃるのです。

古本屋20年やっていて、何度経験しても胸が温かくなる瞬間です。本を大切にしてこられたお宅は、本を運ぶ私どもへの気遣いも、ごく自然に出てくる——そういうものだと、毎回思わせていただきます。

蔵書との対面——お父様の書棚に並んだ「漫画家二人の半世紀」

寺沢武一作品と望月三起也作品、二大巨匠の蔵書が並ぶ全景
本日お預かりした蔵書の全景——左に寺沢武一作品、右に望月三起也作品が並ぶ

では、本日お買取させていただいた蔵書を、ご紹介していきます。冒頭でお伝えした通り、80年代青年漫画ファンなら垂涎の蔵書構成。一冊ずつ手に取りながら、改めてお父様の漫画愛の深さに感じ入る時間でした。

寺沢武一作品——『COBRA』完全版を中心に

① メディアファクトリー版

まず本日の第一の主役がこちら。

  • 『COBRA』完全版 全12巻揃い
    • 1巻 コブラ復活/2巻 イレズミの三姉妹/3巻 ラグ・ボール/4巻 二人の軍曹/5巻 シドの女神/6巻 黒竜王/7巻 異次元の扉/8巻 黄金の扉/9巻 神の瞳/10巻 ギャラクシー・ナイツ/11巻 タイム・ドライブ/12巻 ブルーローズ
  • 『COBRA』ラグ・ボール
  • 『COBRA』黒竜王
  • 『COBRA』マジック・ドール 前編・後編

メディアファクトリー版『COBRA』完全版は、オリジナルのカラーページを完全復元した、B5判の大型コミック。寺沢武一作品の中でも、コレクター需要が特に安定しているエディションです。書棚で背表紙が連番できれいに並んでいる景色は、それだけで圧巻でした。

② 集英社版

続いて集英社のジャンプコミックスデラックス。金文字の高級感ある装丁が並びます。

  • 『COBRA』ジャンプコミックスデラックス 1〜10巻
    • 1巻 ザ・サイコガン(前編)/2巻 ザ・サイコガン(後編)/3巻 マンドラドの伝説/4巻 ギャラクシー・ナイツ/5巻 雷電の惑星/6巻 タイム・ドライブ/7巻 戦場にて/8巻 ブルーローズ/9巻 ソード人の秘密/10巻 黄金の扉
  • 画集『COBRA GIRLS』
  • 画集『COBRA WONDER』
  • 『COBRA』聖なる騎士伝説
  • 『カブト』鴉の章
  • 『カブト』兵の章
集英社『COBRA』ジャンプコミックスデラックス版の金文字背表紙
集英社『COBRA』ジャンプコミックスデラックス版——金文字の背表紙が並ぶ

注目したいのは、お父様が『COBRA』を完全版とデラックス版の両方で揃えておられたこと。「ギャラクシー・ナイツ」「タイム・ドライブ」「ブルーローズ」「黄金の扉」など、版違いで同じ話を持っておられる巻が複数あります。これは本物の寺沢ファンの蔵書——同じ作品を装丁違いで揃えることに意味を見出す読者の本棚です。

そして画集『COBRA GIRLS』『COBRA WONDER』。寺沢武一作品の魅力は、ストーリーだけでなく美しい女性キャラクターの描写にもあります。この画集二冊は、ファンが本当に求めている、絵そのものを堪能できる一冊。それを揃えておられた点に、お父様の趣味の徹底ぶりがうかがえました。

③ スコラ版

そしてやや渋い並びがこちら。スコラ「バーガーSC(バーガーコミックス)」レーベルから刊行された二作品です。

  • 『タケル』双瞳の女王 前編(バーガーSC 430)
  • 『タケル』双瞳の女王 後編(バーガーSC 433)
  • 『ゴクウ』デラックスSC 全3巻

スコラは2003年に倒産した出版社で、「バーガーSC」は現在では新品入手不可能。コミックバーガー誌で連載されていた寺沢作品が、こうしてまとまった形で残っているのは、当時から大切に保管してこられたお父様のおかげです。

『タケル』『ゴクウ』は、『COBRA』ほど一般には知られていないものの、寺沢武一ファンにとっては「外せない作品」。古本市場でも、状態の良いスコラ版は安定した需要があります。

望月三起也作品——『ワイルド7』全14巻と『秘密探偵JA』全15巻

そして本日のもう一人の主役が、望月三起也先生の作品群。これがまた、見事に望月作品の「起点と終点」を網羅する蔵書でした。

① 徳間書店『ワイルド7』全14巻

1969年から週刊少年キングで連載が始まった、望月三起也の代表作にして日本ハードボイルド漫画の金字塔。バイクに乗った7人の特別警察官「ワイルド7」が、法律では裁けない悪を射殺で処分する——という、当時としては衝撃的な設定でした。

飛葉、ヘボピー、八百、世界、ユキ、オヤブン、チャーシュー——個性豊かな7人のキャラクターは、連載終了から半世紀近く経った今でも語り継がれています。テレビドラマ化(1972年)、アニメ化、そして2011年には瑛太主演で実写映画化もされました。

今回お預かりした徳間書店版全14巻は、ファンが「揃いで読み返したい」と求めるエディション。お父様は、おそらく連載当時からのファンとして、長年この14巻を大切に保管してこられたのでしょう。

② 大都社『秘密探偵JA』全15巻

そして同じく全巻揃いで並んでいたのが、望月三起也のもう一つの代表作『秘密探偵JA』。1965年連載開始、『ワイルド7』の原点とも言われる国際諜報アクション漫画です。

大都社版は、望月三起也作品の復刻全集として知られるエディション。初版本とは別の意味で、ファンとコレクターから求められる版です。1960年代の漫画でありながら、骨太のスパイ・アクション・スリラーとして今読み返しても全く色褪せない作品。お父様は、『秘密探偵JA』から『ワイルド7』への系譜を、書棚の中で完璧に再現しておられました。

③ 実業之日本社『W7 ~新世紀ワイルド7~』

そして書棚の中で特に目を引いた一冊がこちら。

『W7 ~新世紀ワイルド7~』は、望月三起也先生が2014年に発表されたワイルド7シリーズの新作。電子配信雑誌「KATANA」で足掛け5年連載された原稿を、ファンの強い要望に応えてカラー原稿をそのままカラーで印刷して単行本化した、シリーズ初の全ページカラー超大作です。

望月先生ご自身が「採算度外視で決行」とおっしゃっていた、本当に表現したかったことを全て込めた一冊。そして2016年4月、望月三起也先生は82歳でご逝去されました。つまりこの『W7 ~新世紀ワイルド7~』は、事実上、望月先生の最後の大作にあたります。

「もう二度とこんな企画はできない」——出版時のキャッチコピーは、今読むと一層の重みを持って響きます。お父様の書棚にこの一冊が並んでいたという事実が、もう、ファンとしての全てを物語っているように思いました。

本日お買取させていただいた蔵書(広島市安佐南区・遺品整理)

■ 寺沢武一作品
・メディアファクトリー版『COBRA』完全版 全12巻揃 ★メイン
・メディアファクトリー版『COBRA』ラグ・ボール/黒竜王/マジック・ドール前後編
・集英社『COBRA』ジャンプコミックスデラックス 1〜10巻
・集英社『COBRA』聖なる騎士伝説
・集英社 画集『COBRA GIRLS』『COBRA WONDER』
・集英社『カブト』鴉の章/兵の章
・スコラ『タケル』双瞳の女王 前編・後編(バーガーSC)
・スコラ『ゴクウ』デラックスSC 全3巻

■ 望月三起也作品
・徳間書店『ワイルド7』全14巻 ★メイン
・実業之日本社『W7 ~新世紀ワイルド7~』★全ページカラー超大作
・大都社『秘密探偵JA』全15巻

■ 広島の方言・郷土関連の本 少々

合計 約66冊+郷土本少々

コラム①「漫画家二人の半世紀」が並ぶ書棚という事件

本日の蔵書を整理していて、店主が改めて感じ入ったのは、「お父様の書棚は、80年代青年漫画の黄金期そのものを保存していた」ということです。

寺沢武一(1955-2023)と望月三起也(1933-2016)。世代も画風も違う二人の漫画家ですが、共通するのは——「絵で語る男のドラマ」を、長年妥協なく描き続けたということ。

寺沢武一は、デジタル彩色をいち早く漫画に持ち込み、『COBRA』の宇宙的スケールと美麗な女性キャラクターで青年漫画の表現を更新しました。望月三起也は、『秘密探偵JA』『ワイルド7』のハードボイルド・アクションで、戦後日本の漫画にひとつの「男の美学」の系譜を作りました。

そして、お父様の書棚には、その二人の代表作が揃いで並んでいた。これは偶然ではなく、間違いなく「この二人の漫画家を、長年にわたって愛してこられた読者」の選択です。版違いで揃え、画集まで揃え、『秘密探偵JA』から『W7 ~新世紀ワイルド7~』まで網羅する——お父様が漫画と過ごされた時間が、書棚にそのまま積み重なっていました。

コラム②『W7 ~新世紀ワイルド7~』を手に取った瞬間

個人的に、本日いちばん手が止まったのが、『W7 ~新世紀ワイルド7~』を書棚から抜き出した瞬間でした。

分厚い、ずっしり重い一冊。表紙を開くと、最初のページからカラー。次のページもカラー。本当に最後までカラーで描き切られているのを目で確かめながら、店主はしばらくページをめくる手が止まりませんでした。望月三起也80歳の到達点。これを描き切って、その2年後に旅立たれた——その事実の重みを、紙の厚みごと手のひらで受け止めるような感覚でした。

お父様も、きっとこの一冊を、特別な気持ちで手に取られたはずです。『秘密探偵JA』の連載開始(1965)から、半世紀以上のキャリアの最終形を、お父様は同時代人として最後まで見届けられた。書棚の中で『ワイルド7』全14巻の隣に静かに並ぶこの一冊は、ファンにとっての「長い恋愛の終章」のような本だったのではないかと思います。

コラム③『秘密探偵JA』というスパイアクションの原点

そして『秘密探偵JA』全15巻。本日の蔵書の中で、店主が「これは見事だ」と思わずうなった揃いです。

1965年連載開始。当時の少年漫画は、まだスポ根や少年活劇が中心だった時代に、国際諜報アクションという新しいジャンルを少年誌に持ち込んだのが望月三起也でした。主人公・朝風 浩(あさかぜ こう)がコードネーム「JA」として世界を駆け巡るアクションは、当時の少年たちの目に、まさに新時代の漫画として映ったはずです。

大都社版の復刻全集は、当時の連載順を忠実に再現した形での揃い。これを15巻全て揃えて保管してこられたということは、お父様は望月三起也の初期作品からのリアルタイム読者だった可能性が高い。『秘密探偵JA』を起点に、『ワイルド7』、そして最終形の『W7 ~新世紀ワイルド7~』へ——書棚は、お父様と望月先生の50年にわたる伴走の記録でもあったわけです。

広島の方言・郷土関連の本も少々

漫画の蔵書のほかには、広島の方言や郷土に関する本も少々含まれていました。タイトルを記録に取り損ねたものもありますが、広島弁の辞典的なものや、地元の歴史にまつわる小冊子など。当店は広島県古書籍商組合加盟店として、広島郷土資料の買取にも力を入れております。漫画と一緒に、こうした地元の本もお預かりできるのは、広島の古書店としてありがたいご縁でした。

お母様の本の引き取り対応について

1階のお部屋には、お母様の蔵書も置かれていました。ジャンルの関係で、古書として買取対象とはならない本でしたが、ご家族からは「これも一緒に整理したい」とのご希望をいただきました。

こうした場合、当店ではご希望に応じて引き取り対応をさせていただいております。買取はできないけれど、お家から引き取って処分の手続きまで責任を持って行う——というスタイルです。遺品整理の現場では、「残っているのが辛い本」「家族として手放したい本」というものが必ずあります。それをお家の中に残し続けるご家族の負担を、少しでも軽くするのも、私どもの仕事の一部だと考えております。

本日のお宅でも、お父様の蔵書とお母様の蔵書、両方をまとめて整理させていただきました。「家全体の本のお片付け」が一度で終わる——ご家族にとっては、こうした一括対応のほうがありがたい場面も多いと思います。買取できない本があっても、まずはお気軽にご相談ください。

搬出——玄関に降ろしておいてくださった本を、車のオリコンへ

査定が終わると、いよいよ搬出です。今回はご家族が玄関のすぐ近くまで本を降ろしておいてくださっていたので、搬出は本当にスムーズでした。持参したオリコン(折りたたみコンテナ)2箱+αに蔵書を分けて積み込み、玄関から車のトランクへ。屋内のお部屋を一切汚さず、短時間で完了。

お父様の漫画たち約66冊と、お母様の引き取り対応のお本。それぞれを丁寧に積み込みながら、店主は心の中で「次の読者へ、責任を持ってお繋ぎします」と念じておりました。寺沢武一を愛するファンへ、望月三起也を読み継ぐ世代へ、そして広島の郷土を学ぶ研究者へ——お父様が大切にしてこられた一冊一冊が、それぞれにふさわしい次の読み手のもとへ届くよう、当店として責任を持って扱ってまいります。

結び——「ワイルド7」の飛葉のように

すべての作業を終えて、ご家族の方にお礼を申し上げ、お車に乗り込んでお宅を後にしました。来た道を逆に、広島高速4号線を南下する帰り道です。

運転しながら、ふと思いました。『ワイルド7』の主人公・飛葉大陸(ひば だいろく)が、バイクで風を切って走っていく姿——お父様が連載をリアルタイムで読んでおられた頃、きっとあのバイクの後ろ姿を、若い心で追いかけたのだろうな、と。そして半世紀以上経って、その同じ『ワイルド7』全14巻が、私の車のトランクで揺れている

本というのは、こうやって時代と読者を縦糸でつなぐ媒体です。お父様の書棚で半世紀過ごした漫画たちが、これから次の読者のもとで、また別の時間を過ごし始める——そのバトンを、責任を持って渡していくのが古本屋の仕事だと、改めて思った帰り道でした。

そして店主は、まだ『W7 ~新世紀ワイルド7~』を全ページ読み切れていません。次の読者へお繋ぎする前に、一度だけ、最初から最後まで丁寧にページを繰ってみたいと思います。望月三起也80歳の到達点を、この目でちゃんと見届けてから、次の読み手にバトンを渡したい——古本屋の役得というか、責任というか、そんな気持ちです。

関連エリア・関連サービス

関連記事もぜひご覧ください

まとめ|雨の日のご縁から、二大巨匠の蔵書をお預かりした一日

本日2026年6月29日の広島市安佐南区の遺品整理買取は、先週の雨の日にたまたま近くまで来ていたご縁から始まり、土曜のお電話を経て、本日の二度目の訪問で実現しました。お預かりしたのは、寺沢武一『COBRA』完全版を中心とした蔵書一式と、望月三起也『ワイルド7』全14巻・『W7 ~新世紀ワイルド7~』・『秘密探偵JA』全15巻ほか望月作品一式、そして広島の方言・郷土関連の本が少々——合わせて約66冊。80年代青年漫画黄金期の二大巨匠を、揃いで愛してこられたお父様の蔵書でした。

2階から玄関まで本を降ろしておいてくださったご家族の心遣い、買取できないお母様の本も引き取り対応させていただいたこと、そして何より、半世紀以上にわたって漫画と過ごされたお父様の時間——一つ一つが、店主としてかけがえのないご縁でした。お預かりした一冊一冊を、責任を持って次の読者へお繋ぎしてまいります。

「親の漫画蔵書をどうしたらよいか」「遺品整理でコミックがまとまって出てきた」「ワイルド7やCOBRAなど、昔の漫画を揃いで手放したい」——そんなお悩みのお客様、ぜひ当店にお声がけください。広島市安佐南区・広島市内全域・広島県全域、出張費・査定費すべて無料で対応しております。雨の日でも、お見積もりだけのご訪問は喜んで承ります。まずは0120-273-707までお気軽にお電話ください。