2026年9月3日。広島市南区へお伺いしました。初めてお電話をくださったお客様で、ご相談の内容はこうでした。
取りに来てもらって、持って帰って査定もできますか?
できます。そして今回は、まさにその形でお引き受けしました。
お預かりしたのはおよそ1200冊。現場で選別はしておりません。とりあえず全部、車に積んで持ち帰りました。そして呉の事務所で1冊ずつ中身を拝見して査定し、本日9月7日、査定結果とお支払いの日程をお伝えして買取成立となりました。お買取したのは約500冊です。
ありがたかったのは、お客様が事前に紐で縛ってくださっていたことです。上の写真がそのままの状態で、当店がしたのは積み込みだけでした。しかも縛り方に意味がありました——分野ごとに束が分かれていたのです。おかげで、事務所で開ける前から、この蔵書の輪郭が見えていました。
お部屋から玄関先まではお客様、玄関先から車までは当店で
今回、お客様からこうご希望をいただきました。
玄関先まで運ぶので、そこから車に積み込んでください
そのとおりに、お部屋から玄関先までをお客様が、玄関先から車までを当店が運んでおります。
念のため申し上げますと、これは決まりではありません。お部屋から運び出すところまで当店でお引き受けすることもできます。ただ、家の中まで入られるのは気が重いというお気持ちもあると思います。今回のように玄関先で受け渡す形でも、まったく差し支えありません。
それにしても、約1200冊を玄関先まで運ぶのは、相当な往復だったはずです。しかも分野ごとに縛り分けたうえで、です。頭が下がります。
「持って帰って査定」という選び方について
1200冊を現場で1冊ずつ査定するとなると、どうなるか。正直に申し上げますと、お客様に長時間お立ち会いいただくことになります。本は1冊ずつ違うものですから、量が増えれば時間もそのまま増えます。
持ち帰ってからの査定であれば、お客様は積み込みが終わった時点でお手が空きます。今回は積み込みが終わった段階で、その場で概算の買取金額をお伝えし、あとは当店が事務所で拝見しました。
ただし、どちらが良いとは一概に申し上げられません。冊数、ご蔵書の内容、お客様のご都合——条件によって進め方は変わりますし、その場で全部査定してお支払いまで済ませたほうが良い場合もあります。ご事情をお聞きしてから決めるものだと思っております。まずはお電話でご相談ください。
三つの分野が、一人の本棚に同居していました
事務所で束を開けていくと、はっきりした三つの流れが見えてきました。
・鍼灸・東洋医学・中医学——しかも実用書ではなく学術書の水準
・NLP・心理療法——1束にまとまるほどの分量
・武術・気功・身体技法——合気道、太極拳、空手
バラバラの寄せ集めには見えませんでした。「人の身体と心をどう捉えるか」——この一点で、三つがつながっているように思えたのです。東洋医学は身体から、NLPは言葉と心から、武術は動きから、同じところへ向かっている。読み手の関心が、そのまま本棚の形になっていた——そういうご蔵書でした。
① 鍼灸・東洋医学・中医学
この束が、今回のご蔵書の芯だと思います。
『中国傷寒論解説』前篇・後篇(東洋学術出版社)、単玉堂/木田一歩 訳『傷寒論鍼灸配穴選注』(緑書房)、尾台榕堂『類聚方広義』(漢方医書集成/東洋学術出版社・函入り)、赤羽幸兵衛『皮内鍼法』、『周易と中医学』(医道の日本社)、大村恵昭『バイ・デジタル O-リングテストの実践』(医道の日本社)、藤本蓮風『鍼灸医学における実践から理論へ』(谷口書店)。
別の束には、長野潔『鍼灸臨床 わが三十年の軌跡』『鍼灸臨床 新治療法の探究』、『針灸経穴辞典』(東洋学術出版社)、『中医処方解説』(神戸中医学研究会 編著)も入っておりました。
お伝えしておきたいのは、この分野の本は一般の書店に多く並ぶものではないということです。『傷寒論』の注釈書や経穴の辞典を、平積みで見かけることはまずありません。部数が多くない代わりに、必要とされる方は古書で探されます。専門的で難しそうに見える本ほど、行き先があることが少なくないのです。
② NLP・心理療法
NLP(神経言語プログラミング)の本が、これだけ1束にまとまることは珍しいです。
ロバート・ディルツ『天才たちのNLP戦略』『NLPコーチング』(VOICE)、ジョン・グリンダーのニューコードNLP関連(春秋社)、ジョセフ・オコナー『NLP実践マニュアル』(チーム医療)、北岡泰典の著書が複数冊。別の束にはダン・ショート/ベティ・アリス・エリクソン『ミルトン・エリクソン心理療法』(春秋社)もございました。
この並びには、順序があるように見えました。入門書だけを何冊も買うのではなく、その分野を作った人の本まで遡っておられる。ディルツ、グリンダー、エリクソン——名前を追っていくと、そういう読み方をされたのだと分かります。
同じ束には、アーサー・E・パウエル『神智学大要 第一巻 エーテル体』も入っておりました。
③ 武術・気功・身体技法
塩田剛三 口伝/養神館指導部 編著『合気道 呼吸力の鍛錬』(ベースボール・マガジン社)、宇城憲治の武術空手関連、山田英司『武術の構造』、『健康気功新功法シリーズ』の六字訣・八段錦、楊名時 八段錦・太極拳二十四式(海竜社)。
そして森 庸年/蓑内宗一 教伝『武道経穴鍛錬法』。これは①の東洋医学とまっすぐつながる一冊です。経穴(ツボ)を、治療の側からではなく武術の側から見た本ということになります。同じ経穴を、片方は治すために、片方は鍛えるために見る。この蔵書のなかで、二つの分野が一冊で握手しているように思えました。
同じ束には河本英夫(日経BP)、G・ベイトソン『精神と自然』、高岡健『人格障害論の虚像』といった哲学・精神医学の本も混在。別の束には井本邦昭『整体法』『整体法2』(三樹書房)が2冊揃って入っておりました。
なお、ニキ・リンコ/藤家寛子『10年目の自閉っ子、こういう風にできてます!——「幸せになる力」発見の日々』、長屋周格『歯医者が虫歯を作ってる』のように、専門書の合間に読み物も入っておりました。マルコム・グラッドウェル『第1感』(光文社)やマイケル・D・ガーション『セカンドブレイン』(小学館)もございます。
『黄帝内経 素問』は揃い、『東洋医学講座』は端本でした
この写真の7冊が、今回いちばんお伝えしたいところです。「揃い」と「端本」が並んで写っています。
左の3冊は『現代語訳 黄帝内経 素問』(東洋学術出版社)の上巻・中巻・下巻。3冊すべて揃っています。『黄帝内経』は東洋医学のいちばん古い土台にあたる古典で、『素問』はそのうちの一部です。
右の3冊は小林三剛『東洋医学講座』(自然社)。ただしこちらは第一巻 基礎編/第十四巻 易経 基礎編/第十五巻 気学九星編(1)——巻が大きく飛んでいます。シリーズ全体としては端本です。
ここは正直に申し上げます。全巻揃いを探しておられる方から見れば、巻が飛んだ束は候補になりません。
けれども、「易経の巻だけ読みたい」という方には話がまったく変わります。必要なのはその巻があるかどうかだけで、隣の番号が抜けていることは関係ありません。第十四巻を開きたい方にとって、第二巻の有無は机の上の役に立たないのです。
ですから当店は端本のシリーズものもお引き受けします。そして同時に、揃っていれば評価が変わることも隠しません。この二つは矛盾しておりません。買われる方が二通りいる——つまり端本には端本の行き先がある、という意味だからです。同じ話は呉市で書道の『拡大法書選集』をお譲りいただいたときにも書きました。
もうひとつ。『東洋医学講座』の函にはビニールカバーが残っていました。函入りの本は、函の傷み方に扱われ方が出ます。カバーが残っているということは、大切に置かれていたということです。
約500冊をお買取し、残りはリサイクルに回しました
お預かりした約1200冊のうち、お買取したのは約500冊です。
残った約700冊は、当店でお引き受けし、古紙回収・リサイクルに回しました。
そして処分費は一切いただいておりません。買取金額から差し引くこともしておりません。出張費・査定費・キャンセル費もすべて0円で、お客様が当店にお支払いいただく費用は発生しません。
なぜ全部お引き受けするのか。理由は単純です。700冊がそのまま残れば、それはお客様のご負担になるからです。ご自分で束ねて出せば何往復にもなりますし、業者を呼べば費用がかかります。値の付く本だけを持って帰る、ということは当店はいたしません。安芸高田市で復刻全集をお譲りいただいたときにも同じことを書きましたが、これは今回のように量が多いご依頼でこそ意味を持つと思っております。
この仕組みそのものについては、大量の蔵書整理で処分費が0円になる理由を別の記事で詳しくご説明しております。今回はその実例ということになります。当店の買取・リサイクルの考え方もあわせてご覧ください。
よくあるご質問
取りに来てもらって、持って帰って査定してもらうことはできますか?
できます。今回の広島市南区のご依頼も、約1200冊を全部お預かりして呉の事務所で1冊ずつ拝見しました。冊数が多い場合、現場での査定は長時間のお立ち会いになります。お預かりしてからの査定であれば、積み込みが終わった時点でお手が空きます。ただし進め方はご蔵書の内容や量、ご都合によって変わりますので、まずはお電話でご相談ください。
買取にならなかった本はどうなりますか。処分費はかかりますか?
ご希望に応じて当店でお引き受けし、古紙回収・リサイクルに回しております。処分費は一切いただいておりません。買取金額から差し引くこともございません。出張費・査定費・キャンセル費もすべて0円です。
本の運び出しはどこまでしてもらえますか?
ご希望をお聞かせください。お部屋から運び出すところまで当店でお引き受けすることもできますし、今回の広島市南区のように玄関先まではお客様、玄関先から車までは当店という形でも差し支えありません。家の中まで入られるのは気が重い、という場合も遠慮なくおっしゃってください。
鍼灸や東洋医学、中医学の専門書も買取できますか?
お任せください。今回は『現代語訳 黄帝内経 素問』上中下揃、『東洋医学講座』、『中国傷寒論解説』前後篇、『傷寒論鍼灸配穴選注』、『皮内鍼法』などをお譲りいただきました。一般書店の流通量が多くない分野ほど、必要とされる方は古書で探されます。
シリーズの巻数が揃っていない端本でも買取してもらえますか?
お引き受けします。今回の『東洋医学講座』も巻が飛んだ端本でした。揃っていれば評価が変わることは隠しませんが、それは「端本に行き先がない」という意味ではありません。
まとめ
広島市南区で約1200冊をお預かりし、呉の事務所で1冊ずつ拝見して約500冊をお買取しました。鍼灸・東洋医学/NLP・心理療法/武術・気功——三つの分野が一人の本棚に同居し、しかも「身体と心をどう捉えるか」でつながっているご蔵書でした。
お客様が分野ごとに紐で縛って、玄関先まで運んでくださっていたおかげで、当店は玄関先から車への積み込みだけで済みました。この場を借りてお礼申し上げます。
なお運び出しをどこまでお引き受けするかは、ご希望どおりに決めております。お部屋からすべて当店で、という形でも構いません。家の中まで入られるのは気が重いという場合は、今回のように玄関先での受け渡しでも差し支えありません。
広島市南区は当店の対応エリアです。冊数が多くて手が付けられない、現場で長く立ち会うのは難しい——そうしたご事情も、まずはお聞かせください。呼んでいただくだけなら費用は発生しません。