「本のカバーが破れてしまった」「ページが取れかかっている」——そんなとき、家にあるセロテープでパッと貼って直していませんか?気持ちはとてもよくわかります。手軽で、きれいに貼れて、その瞬間は満足感もあります。
しかし、創業20年の古本屋として申し上げると、これは本にとって最悪の選択です。買取の現場で、セロテープ補修が原因で価値を大きく落としてしまった本を、これまで何百冊と見てきました。
この記事では、なぜセロテープがダメなのか、そしてプロの古書店や図書館・博物館でも使われている本格的な補修グッズ「フィルムプラストP」と「ペーパーエイド」を、店主の正直な視点でご紹介します。
この記事でわかること
・なぜセロテープが本の補修に向かないのか(買取現場のリアル)
・プロが使う補修テープ「フィルムプラストP」の特徴と使い方
・ページ破れに最適な「ペーパーエイド」のすすめ
・「補修してはいけない本」の見分け方
・補修した本としていない本、買取査定額の違い
古本屋が買取現場でいちばん見る「悲劇」——セロテープ補修
出張買取でお客様のお宅に伺うと、本当によく見かける光景があります。それが、セロテープで補修されたカバーやページです。「破れたから貼っといたよ」「子どもの頃に直した本」など、その本との思い出が詰まっていることも多く、ご本人としては大切に扱われたつもりなのです。
ですが——10年、20年と経ったセロテープ補修の本を見ると、ほぼ必ず次のような状態になっています。
- セロテープ自体が黄色〜茶色に変色している
- テープを貼った部分の紙にまで茶色いシミ状の跡が残っている
- テープの粘着剤だけが本に残り、テープ本体は剥がれている
- 隣のページや表紙裏にまで色が移っている(色写り)
- テープを剥がそうとすると紙ごと破れてしまう
これはセロテープの粘着剤に含まれる成分が経年で酸化・劣化することで起きる現象で、避けることができません。「品質のいいセロテープなら大丈夫では?」と思われる方もいらっしゃいますが、市販されている家庭用のセロテープ・透明テープは、ほぼすべて同じ性質を持っています。
査定への影響:状態が良ければ買取できた本も……
例えば、状態がきれいな絶版本・初版本・サイン本があったとして、本来は数千円〜数万円の買取価格がつくはずだった本が、セロテープの色写りで査定額が大きく下がる、もしくは買取自体が難しくなるケースは少なくありません。
ご本人にとっては「壊れた本を直してあげた」つもりが、結果として本の市場価値を大きく損なってしまうという、いちばん悲しいパターンです。これがセロテープを「絶対NG」と申し上げる理由です。
店主からのお願い
もし「これから補修しようかな」と思っている本がありましたら、そのまま何もせず、まず古書店にご相談ください。価値のある本かどうかをまず確認してから、補修の必要性を判断するのが安全です。「補修しなければ売れない」と思い込まないでくださいね。
プロが愛用する補修グッズ①:フィルムプラストP
では、本を本気で補修するときに、プロは何を使っているのか。古書店・図書館・博物館・大学図書館など、本の専門家がほぼ例外なく使っているのが、フィルムプラストP(Filmoplast P)という補修テープです。
フィルムプラストPの特徴
- ドイツ・ネッシェン社製のアーカイバル仕様補修テープ
- 粘着剤が中性で、経年劣化しても変色・色写りしない
- テープ自体が薄く半透明で、貼っても目立ちにくい
- 図書館・博物館・公文書館などでも採用されている業務品質
- 長期保存に耐えるため、10年・20年経っても安心
もともとはフィルムックスという会社が国内で取り扱っていましたが、現在は株式会社ミューズが総代理店として販売しています。本の補修をきちんとやりたい方は、まず迷わずこれを選んでおけば間違いありません。
📎 商品詳細:フィルムプラストP(株式会社ミューズ公式ページ)
主な用途
- カバー(ジャケット)の破れ・裂け補修
- 表紙の角が破れた部分の補強
- 背表紙の裂けの補修
- ページの端が折れて切れかかっている部分の補強
- 図書館本のラベル保護(業務利用)
使い方のコツ
使い方は基本的にセロテープと同じで、必要な長さに切って貼るだけです。ただしいくつかコツがあります。
- 貼る前に、補修部分のホコリ・指紋を乾いた布で軽く拭く
- テープを少し長めに切って、破れの両端を1〜2mmずつ余裕をもって覆う
- 貼った後は柔らかい布で軽く押さえて、空気を抜く
- 失敗した場合は無理に剥がさず、その上から重ね貼りで対応する(剥がすとかえって傷める)
プロが愛用する補修グッズ②:ペーパーエイド(家庭用に嬉しい10m版)
もう一つ、ぜひ知っていただきたいのが、「ペーパーエイド」です。こちらも同じく株式会社ミューズで取り扱いがあります。
結論から申し上げると、ペーパーエイドはフィルムプラストPの素材・幅はそのままに、総長を50m→10mに短くしたコンパクト版です。中身のテープそのものは同じ。違うのは「ロール1本あたりの長さ=容量」だけ、というシンプルな関係性です。
ペーパーエイドの特徴
- テープの素材・幅はフィルムプラストPと同一(中性・アーカイバル仕様)
- 違いは総長10m(フィルムプラストPは50m)という容量のみ
- 使い切りやすく、家庭・少量補修に最適
- 50m版より価格を抑えやすく、初めての方が試しやすい
- もちろん長期保存しても変色・色写りしないのはフィルムプラストPと同様
📎 商品詳細:ペーパーエイド(株式会社ミューズ公式ページ)
フィルムプラストPとの使い分け
| 商品名 | 総長 | 向いている方 |
|---|---|---|
| フィルムプラストP | 50m | 図書館・書店・大量蔵書を補修したい愛蔵家 |
| ペーパーエイド | 10m | 家庭の本を数冊〜数十冊補修したい方 |
「家に何冊か補修したい本があるけれど、50mのロールは持て余してしまう」という方には、まずペーパーエイド(10m)から始めるのをおすすめします。テープの素材としてはフィルムプラストPと同等の信頼性なので、少量ずつ大切に使えます。
主な用途
素材が同じなので、用途もフィルムプラストPと変わりません。
- カバー(ジャケット)の破れ・裂け補修
- 表紙の角が破れた部分の補強
- 背表紙の裂けの補修
- ページの端が折れて切れかかっている部分の補強
使い方のコツ
テープが同じなので、使い方もまったく同じです。フィルムプラストPの項目で書いた手順をそのまま実践していただけます。
- 貼る前に、補修部分のホコリ・指紋を乾いた布で軽く拭く
- テープを少し長めに切って、破れの両端を1〜2mmずつ余裕をもって覆う
- 貼った後は柔らかい布で軽く押さえて、空気を抜く
- 失敗した場合は無理に剥がさず、その上から重ね貼りで対応する
ご自身で読み続ける本を長く愛用したい方には、セロテープを置く代わりにペーパーエイドを一つ常備しておくのを心からおすすめします。10mあれば、家庭の本ならかなり長く使えます。
絶対に補修してはいけない本もあります
ここまで補修グッズをご紹介してきましたが、「補修しないでください」という本も実はあります。買取に出す予定がある場合は特に注意が必要です。
触らない方がいい本
- 古書(戦前・戦中・明治大正期の本)——状態そのものが価値を構成します
- 初版本・限定版——オリジナルの状態で評価されます
- 著者サイン本・献呈本——サイン部分への影響を避けるため
- 書道家・画家の落款がある本
- 絶版で希少価値の高い本(サンリオSF文庫・古い専門書など)
- 美術書・図録の高額品(補修跡があると一気に評価が下がる)
これらの本は、たとえ多少の傷みがあっても「そのままの状態」で評価されるのが古書市場のルールです。「直してあげたほうが査定額が上がるかも」という親切心が、かえって価値を下げてしまうケースが多々あります。
判断に迷ったら、補修せずにご相談を
「これって価値のある本かな?」と少しでも迷われたら、補修する前に一度ご連絡ください。電話やメールで簡単に状態をお聞きするだけでも、おおよその目安をお伝えできることが多いです。無料査定・出張費無料で対応いたしますので、ご負担はありません。
補修した本としていない本、査定額は変わるのか?
これはお客様からよくいただくご質問です。結論から申し上げると、「適切な補修」なら査定額は上がる、「不適切な補修」なら大きく下がる——これが正直なところです。
査定額に影響する補修の例
| 補修方法 | 査定への影響 |
|---|---|
| フィルムプラストP(中性紙テープ/50m) | ◎ 価値を保つ |
| ペーパーエイド(中性紙テープ/10m) | ◎ 価値を保つ |
| 補修なし(破れたまま) | ○ ケースバイケース |
| セロテープ・透明テープ | × 査定額大幅減 |
| ガムテープ・布テープ | × 買取不可になる場合も |
| 木工用ボンド・市販接着剤 | × 査定額大幅減 |
ですので、「補修した方がいいか」迷ったら、そのまま何もしないのが安全です。中性素材の補修グッズが手元にあるときだけ補修してください。
店主のおすすめ常備セット
「うちの本棚にも補修したい本がある」という方に、店主から3点だけご提案します。これだけ揃えておけば、家庭の本の補修はほぼすべて対応できます。
- フィルムプラストP(50mロール1本) —— たくさんの蔵書をお持ちの方や、図書館・書店レベルで補修する方に
- ペーパーエイド(10m版1個) —— 家庭の本を数冊〜数十冊補修したい方に。50mロールでは持て余すという方の最初の一本に
- 柔らかい布(眼鏡拭きで代用可) —— 補修前のホコリ拭きと、貼った後の押さえ込みに
セロテープを使ってきた方は、ぜひこの機会に「セロテープを補修用途で使うのをやめる」ことをご検討ください。本にとっても、将来の自分にとっても、必ずプラスになります。
補修済みの本も、補修されていない本も、まずはご相談を
もし、すでにセロテープで補修してしまった本がご自宅にある場合も、「もうダメだ」とあきらめないでください。当店ではセロテープ補修済みの本でも買取または無料引取に対応しております。状態によっては値段がつきにくいこともございますが、捨てるよりは古書店にお持ちいただく方が、本にとっても気持ちの整理にとっても良いと思います。
逆に、これから整理しようとしている本があって、「破れがあるから補修してから持っていこう」と考えている方は、まず何もせずにご相談ください。価値ある本を補修で傷つけてしまう前に、無料査定をご利用いただければ幸いです。
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まとめ|本を大切にするなら、補修グッズも本気で選ぶ
セロテープは確かに身近で便利な道具ですが、本の補修にだけは絶対に使わないでください。10年後・20年後に、本にも自分にも後悔が残ってしまいます。
代わりに、フィルムプラストP(50m)かペーパーエイド(10m)のどちらか1本を持っておけば、家庭の本のほとんどはきれいに、そして長く保つことができます。テープの素材・幅はまったく同じで、違いは総長=容量だけ。図書館・大量補修なら50m、家庭で数冊〜数十冊なら10mで十分です。どちらも中性・アーカイバル仕様の紙テープで、図書館・博物館でも採用されている、誰でも使える信頼の補修材料です。
そして、価値ある本・古書・初版本については、補修せずにそのまま古書店へご相談いただくのがいちばん安全です。アッシュ書店では、創業20年の経験から、お客様の本を最も価値ある形で次の読者へお渡しできるよう、丁寧に対応させていただきます。広島県全域、出張査定・無料引取に対応しておりますので、まずはお気軽にお電話ください。